会社情報管理の3つのポイント(名寄せ・データクレンジング)

 働き方改革の一部として、会社間取引(BtoB)においてもデジタルトランスフォーメーション、デジタルマーケティング、データドリブンなど概念を用いた戦略や仕組みの構築が進んでいます。しかしながら、上手にできている企業は多くありません。なぜでしょうか。当コラムでは、そのなぜとソリューションについてコラムです。

会社情報管理の3つのポイント

  1. 会社情報管理はなぜ必要か?
  2. 正しい会社名とは?
  3. 会社情報管理をきちんと行うためにすべきこととは?

1.会社情報管理はなぜ必要か?
 会社間取引(BtoB)において会社情報管理は特に重要です。皆さまが直面する事象は、旧社名や正しくない社名が混在していることで、お客さまを特定できずビジネスにデータを活用できないことです。当社は、デジタルトランスフォーメーション、デジタルマーケティング、データドリブンに取り組む企業をご支援する中で、”必ずぶつかる壁”を見てきました。その壁こそが会社情報管理です。

 会社情報管理ができていないと、自社のお客さまを分析することができません。分析ができないと投資配分の設計ができません。つまりマーケティングで重要なセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(STP)が行えないのです。その結果、投資の最適化ができず、”無駄な投資”状態に陥ります。さらに、それぞれの部門がターゲティングしている会社は、蓋を開けてみたら実は同じ会社であったなんてことも起こり得ます。これはお客さまに対し正しくない会社名で複数の部門から重複したコミュニケーションを行うことにもなりかねません。言うまでもなく非効率な戦略、無駄な業務の発生、対顧客への失礼なコミュニケーションの要因の一つとなるのです。

 この状況下において、デジタルトランスフォーメーション、デジタルマーケティング、データドリブンは行えません。ここを理解していない会社が多く、メディアやコンサルティングファームの言葉にのらされて高価なツールを導入して失敗している会社が多く存在しているのが日本の現状です。改善するには、データやシステム、会社情報への知識を合わせたセールスマーケティングが必要です。国内の傾向として、広告・メディアからデジタル推奨しているところよりも、システム開発からデジタル化を推奨しているところとお付き合いしている会社の方が上手に取り組めていると思います。

 会社情報管理の設計・仕組みができていないと、デジタルシフトに舵を切ってもパイプに穴がある状態で水を送り込んでいる状態であることはご理解いただけたでしょうか。では、ソリューションの前に会社情報管理のコツとして正しい会社名を理解する必要があります。

2.正しい会社名とは?
※ここで紹介する内容は当社の定義であることが前提です。

 会社名(商号)は、法人登記の会社名(商号)を正とすべきと考えます。理由は、2020年現在、正しい会社名はどこにも定義されていないからです。つまり、国に法人登記申請し法人税を納税している会社として管理されている情報(国税庁が公開する法人登記情報)を正とすべきと考えます。これは法人番号(法人マイナンバー)と呼ばれる会社に一意で割り当てられた13桁の番号で管理され、それに会社名(商号)と本店の住所(登記住所)が紐づいて登録されています。

 例えば、[アシスト]という会社名は国内で2,500社以上存在します。[株式会社アシスト]のように法人格と呼ばれる”株式会社”を社名の前に付けた場合でも1,200社以上存在します。貴社が保有する会社名はどのような質で管理されているでしょうか?

 保有する会社名で検索して、検索結果に同一社名が複数件存在する場合、会社名だけで会社を一意に特定することは不可能です。一意に特定するには、法人番号があればベストですが無い場合、最低限 [会社名]と[住所]が必要になります。他にも、[電話番号]や[メールドメイン]なども一意に絞るための参考情報にはなりますが、一般的に保有している電話番号は会社代表電話番号ではなく、ユーザー直通の電話番号である場合も多くまた、[メールドメイン]は、ウェブサイトのドメインと同じ場合もありますが、異なる場合や関連子会社も同じドメインを使うことが多々存在するため、会社を一意に特定するためのキー項目としては相応しくないというのが当社の見解です(当社が500万件以上の拠点含む企業データで実験した結果からの見解)

 正しい会社名と何をキーとして会社を一意に特定するかご理解いただけたでしょうか。
 では、会社情報管理をきちんと行うために、会社名(商号)をどのような質で管理すべきかご紹介します。

3.会社情報管理をきちんと行うためにすべきこととは?
 まず、会社を一意に特定することが重要です。自社が保有する情報で何をキーにすれば会社を特定することができるか判断することです。逆に言うと、会社を特定できない情報はゴミ情報になりかねないということです。例えば、会社名しか保有していない場合、登記情報に同一の会社名が複数存在さえしなければ一意に特定することはほぼ不可能です。また、会社名とメールアドレスしか保有していない場合でも一意に絞れる可能性は多少落ちますが全く特定できないわけではありません。この作業を名寄せ・クレンジングと呼びます。ポイントは、保有している会社情報項目とその質です。会社名はあるといってもその質が悪い場合も考えられます。

例えば、次のケースは全て「日本電信電話株式会社」であろうと想定されるものです。


NTT(全角英数)
NTT(半角英数大文字)
Ntt(半角英数大文字小文字混在)
エヌテーテー
エヌ・テー・テー
エヌティーティー
エヌ・ティー・ティー
電信電話
日本電信電話
日本電信電話(株)

 会社名をユーザーに自由入力させるとこのような情報が集まってきます。つまり、不正確な会社名から正しい会社名を特定するのは極めて困難な状況に陥ります。せっかくコストをかけて集めた情報もこれでは水の泡です。後で担当者が手作業で情報を整備しようとしてもとても時間とコストがかかる割には整えられない部分なのです。ソリューションとしては2つあります。1つ目は、入力、登録というインプットの重要な局面で正規化してあげることで一意に保つことです。2つ目は、登録された後に不正確な情報を名寄せ・クレンジングという作業でキレイに正規化することです。

 当社は、この両方のサービスを提供しています。1つ目は、入力・登録という重要な局面で会社検索して選択するだけで会社を一意に特定するだけでなく、法人番号、住所、業種、資本金、売上、従業員数、代表電話番号などの情報もユーザーに入力させることなく同時に自動取得することができます。2つ目の蓄積された情報を名寄せ・クレンジングするサービスも提供しています。これは、不正確な会社名でもAIが登記情報の会社名に直して返却してくれます。更に、会社に紐づく法人番号、住所、業種、資本金、売上、従業員数、代表電話番号なども付与してくれるので、会社情報をリッチ化することができます。会社名だけでなく住所や電話番号、メールドメインなど情報があればあるほど、クレンジングの精度が上がります。使い方はとても簡単で、お客様が自らエクセルでドラッグ&ドロップするだけで、いつでも簡単に必要なタイミングで名寄せ・クレンジング&情報のリッチ化ができるインターフェイスです。

 会社情報管理を変えるとビジネスが変わります。自社のメイン顧客層が分析できれば、それに類似した企業をターゲティングできるでしょう。優先順を付けてどこに投資していくべきかの判断・最適化ができるようになるでしょう。当社のABMコンサルティングサービスは、そのような視点でデータの正規化から分析、戦略から実行まで支援しております。皆さまの会社情報管理の参考になれば幸いです。

【サービス紹介】
会社情報とIT技術、セールスマーケのコンサルティングのプロが設計開発しデータ構築からこだわりのサービス
ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2019ベンチャーグランプリ受賞

ST&E(スタンディ)会社情報自動入力
入力・登録の局面で会社を一意にして情報をリッチ化するサービス

ST&E(スタンディ)セルフクレンジングAI
蓄積された会社情報をエクセルに貼り付けドラッグ&ドロップで名寄せ・クレンジング&情報をリッチ化するサービス
※会社名だけでもOK、住所は拠点情報でも都道府県しかなくてもOK

会社/製品

株式会社B-Storyは、デジタルマーケティングに取り組む企業を支援します。「実効性」と「実行性」をコンセプトに、戦略戦術ストーリーをデータ「蓄積、計測、可視化」の視点で一緒に作り上げていきます。

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